自民党は再生できないだろう

自民党総裁選が終わり、河野太郎氏がまたもや主流となることなく終わった。それでも、前回の総裁選では20人の推薦人が集まらずに、立候補すら出来なかったことを考えれば、少しはましになったのかもしれない。しかし、自民党の中にある危機感というものが、谷垣氏の圧勝を見る限りではこの程度のものだったのかということでがっかりする。投票率の低さを見ると、危機感を通り越してもはやあきらめが自民党には蔓延しているのだろうか。

河野太郎氏は、テレビのインタビューで、「自民党を真っ向から批判しているのなら、むしろ自民党を出た方がいいのではないか」ということに答えて、「自分が今は中心にいるのを感じる。その中心にいる自分が外に出る必要はなく、中心で改革を進める道を選んだ」というようなことを語っていた。だが、総裁選の結果を見る限りでは、自民党河野氏をその中心に据えることをしなかったと言えるだろう。

自民党は、これから谷垣氏を中心としてその再生を図ることになるのだが、谷垣氏に根本から自民党を変えるだけの力と決意があるとは思えない。河野氏が批判していたように、「全員野球」という言葉で、今まで自民党負の遺産を作り上げて、それを引きずってきた人間をもともに取り込んでこれからも活動していこうというのだから、選挙で批判を浴びた面を改革できるとはとても思えない。自民党はこのまま衰退して消えていくのではないかと思う。

おまけに、谷垣氏は麻生氏と比べれば人格的に高潔なように見える。麻生氏のように、なりふり構わず、民主党の弱点と思われる点をしつこく攻撃し続けるということは、性格的にも出来ないのではないだろうか。しかし、過去の負の遺産を引きずる自民党には、それ以外の戦術がありそうにない。今度の総選挙でも終始麻生氏は、民主党に対するネガティブキャンペーンをやり続けた。建設的な政策が一つもないのだから、それ以外にやりようがなかったのだと思う。建設的な政策を出そうと思えば、もはや民主党に反対することが出来なくなっていたのだろう。末期状況での政策を見ても、民主党が主張してきたことを微妙にごまかして取り入れていったように見えるところに、自民党の政策の欠点があるのではないだろうか。

この自民党が、今までの党内の力関係が変わらないまま、民主党に対抗していくような建設的な政策を打ち出していくことが出来るだろうか。それはほとんど期待できない感じがする。民主党の政策は、実現可能性が批判されているが、実現できるかどうかが問われるということは、それはある意味で理想的な旗を揚げているからだとも考えられる。理想的すぎるから実現できないのではないかという批判だ。これは、たとえその具体化がすべて成功しなかったとしても、民主党がどのような党であるかということの確率には、理想的すぎるくらいのスローガンを掲げるのは悪くないと僕は思う。少なくとも、それが理想的すぎて実現が出来ないのだというネガティブキャンペーンしか張れないよりは、理想を提出する方が優れているだろう。

河野太郎氏が主流になれなかった自民党にはもはや何の期待もしないが、河野氏は速やかに自民党を離れて渡辺氏と合流するなりして、自分の理想とする対抗軸で民主党に対する政治活動をすべきだろうと思う。真っ向から批判した全員野球をやろうとしている谷垣氏の元で自民党にとどまるとしたら、それは河野氏の政治姿勢が問われることになるのではないだろうか。河野氏が渡辺氏と合流して、民主党に対抗する新しい政治の潮流となることを期待したいと思う。