2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ウィトゲンシュタインの「論理空間」

僕は、最初「論理空間」というものを見たとき、その言葉のイメージを数学的な空間のイメージと重ねていた。数学的な空間は、点の集合を意味する。それは座標軸を設定したときに、座標の数字の組で表される。3次元空間であれば、3つの数字の組(順序の違い…

ウィトゲンシュタインの「世界」

ウィトゲンシュタインは『論理哲学論考』の最初の命題で 「1 世界は成立している事柄の総体である。」 と書いている。「成立している事柄」とは、現実に成立している事柄のことである。これを「事実」と呼んでいるので、世界は「事実」の総体であるというの…

不可能性の証明

古代ギリシアの数学には三大難問と呼ばれる幾何学の問題があった。定規とコンパスだけを用いて作図するという問題で、1 与えられた画の三等分をする 2 与えられた立方体の2倍の体積の立方体を作図する 3 与えられた円と同じ面積を持った正方形を作図する…

昭和天皇の発言メモについて論理的に考えてみる

元宮内庁長官、富田朝彦氏(故人)の手帳に残されていた昭和天皇の発言のメモが論議を呼んでいる。それは、靖国神社のA級戦犯合祀(ごうし)について強い不快感を示していると解釈されていることが、靖国参拝問題を巡るいくつかの立場にとってどう受け止め…

仮言命題そのものの真理性とその前件と後件の真理性

内田樹さんの「2006年07月23日 Take good care of my baby」というエントリーに、論理的な観点から見て非常に興味深い記述があった。『オニババ化する女たち』の著者・三砂ちづるさんは「おむつの研究」をしているという。それは内田さんによれば、「母親に…

真理の客観性について−−客観的真理は存在するか

数学の基礎教養の一つに集合論というものがある。これは、ものの集まりというものを抽象して数学的対象にするものだが、単純に何かが集まっていれば集合になるというものではない。基準のはっきりしないものはいくら集まっていても、数学的対象としての集合…

再びフェミニズムについて考えてみる

また同じ議論を蒸し返してしまうかも知れないと恐れながらも、もう一度フェミニズムについて考えてみたいと思う。これは、自分自身に対して深い理解をしたいという思いからでもある。こんなことを思うきっかけは、ワールドカップ決勝でのジダンの頭突きのこ…

究極的な存在の考察

観念論の再評価のために『カント入門』(石川文康・著、ちくま新書)を読んでいるのだが、その中に興味深い記述があった。それは「空間・時間は主観的なもの」という中見出しで語られていることだ。我々は、具体的に存在するものは、物質として客観的に存在…

歴史における真理とは何か

「北朝鮮」のミサイル発射に関することは、国連での非難決議の成立で一定の決着を見てしまったのでもはや旬の話題ではなくなってきた。この決着が、それぞれの国のどのような思惑が働いているのかを考えるのは、何が「事実」なのかを考える上で大事だとは思…

「北朝鮮」のミサイル発射を論理的に理解してみる 1

哲学の一部でもある論理学の応用として現実の出来事を整合的に理解する努力をしてみたいと思う。それは、論理的に可能な命題を考えられる限り探し出して、現実をその可能な場合のどれかだと考えるのがまず第一歩だ。それを決定するのは難しいと思うが、もっ…

ウィトゲンシュタイン的世界と論理空間−−哲学の応用について

学生の頃はさっぱり分からなかったウィトゲンシュタインの哲学が少し分かりかけてきた。これは、はてなダイアリーの方のわどさんのコメントをヒントにして気づいたのだが、年をとるとそれなりに経験を積むことが出来るので、見えるものが増えてきたことによ…

真理とは何か

かつて数学少年だった頃、何故に数学だけにそれだけの愛着を感じたのかを考えてみると、数学だけが確かな真理を教えてくれると感じていたような気がする。数学以外の知識は、それが正しいものであるかを自分で判断することが出来そうになかった。教師の言う…

ソシュールの言葉に対する解釈

シカゴ・ブルースさんから「幼児の頭の中は星雲のようなものか(修正版)」というトラックバックをもらった。ここでシカゴブルースさんは、ソシュールの次の言葉 「それだけを取ってみると、思考内容というのは、星雲のようなものだ。そこには何一つ輪郭の確…

論理とは何か

僕が論理に関心を持ったのは、論理的に厳密さを求めた数学がさっぱり分からなくなったからだった。高校までの直感を基礎にした数学は分からなくなると言うことがなかった。対象がどんなものであるかが分かれば、そこで展開されている論理は整合的なものとし…

「ソシュール的な発想」ということで何を言いたかったのか

シカゴ・ブルースさんから「「言語なしの思考」」というトラックバックをもらった。それを読むと、なるほどと思えるところがたくさんあり、自分が考えていたことの曖昧さがよく分かると同時に、本当は何が言いたかったかということも少しずつ見えてきたよう…

「無意識」は存在するのか

「無意識」という対象は、人間の心を解明する上で非常に重要な役割を果たしたものとして、その発見が賞讃されているものだ。人間の言い間違いや物忘れ、その他理解が難しい行動に対して、それが「無意識」というものを原因としていると解釈すると、合理的な…