2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

論説文の主張を形式論理で理解する 2

前回のエントリーでは朝日新聞が社説で展開していたグルジアでの紛争の問題を考えてみたが、田中宇さんの「米に乗せられたグルジアの惨敗」という記事が同じ問題を扱っていて、違う視点を提出しているのを見つけた。社説では一般的な前提として分かりやすい…

論説文の主張を形式論理で理解する 1

論説文の主張というものを形式論理のメガネで見てみようかと思う。論説文というのは、事実を単に記述するだけのものではなく、そこに中心となる主張が発見できる。そして、それが論説であるということは、その主張が論理的に根拠づけられているということで…

報道記事の形式論理的分析 1

インターネットで配信されている「「問題ない」太田農水相が辞任を否定 事務所費問題」(8月26日12時21分配信 産経新聞)という記事の内容を形式論理の観点から眺めて見ようと思う。形式論理の観点から眺めるというのは、そこに書かれている文章を「命題」と…

マルクス主義批判

僕にとってマルクス主義批判の内容は、ずっと長い間「官許マルクス主義批判」だった。それは三浦つとむさんが展開していた批判で、共産主義政党などの権威あるものが主張していた、権力からのお墨付きをもらったマルクス主義に対する批判というものだった。…

不可能性の証明

大学生の頃に夢中になって考えていたパズルに次のようなものがあった。5行5列の正方形の形に並んだ黒い点がある。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・この黒点を一筆書きのようにして線で結ぶのだが、そのときに…

理解の道具としての形式論理 6

今回宮台真司氏の「連載第二三回:政治システムとは何か(下)」の中で取り上げるテーマは「権力反射」と「権力接続」という概念だ。これはかなり複雑な概念で、しかも高度に抽象的なものだ。それゆえ理解をすることがたいへん難しい。この概念は「権力源泉…

理解の道具としての形式論理 5

さて前回引用しておいただけの宮台真司氏の「連載第二三回:政治システムとは何か(下)」の次の文章の考察をしてみよう。 「以上の復習を纏めると、権力を可能にする了解操縦とは、相手の了解において「権力主題を与えて回避的状態を構成する」ことだと言え…

理解の道具としての形式論理 4

宮台真司氏の「連載第二三回:政治システムとは何か(下)」で次に論じられている「権力の人称性」ということの意味を考えてみようと思う。これは「最も重要な了解操縦」と書かれている。宮台氏の権力論では、直接の物質的な力そのものを「権力」と呼んでい…

理解の道具としての形式論理 3

宮台真司氏の「連載第二三回:政治システムとは何か(下)」に書かれていることで、今回は「宮台理論の特徴は、権力が服従者の了解(選好と予期)に即して定義されることです。了解の正しさは問われません」ということの意味を考えてみよう。宮台氏の「権力…

理解の道具としての形式論理 2

宮台真司氏の「連載第二三回:政治システムとは何か(下)」に書かれている文章を一つ一つ、論理的に理解するということを目指して細かく見ていきたいと思う。前回に続く文章で今回理解を図るのは、宮台氏の「権力の予期理論」に関係する文章だ。それは、宮…

理解の道具としての形式論理 1

宮台真司氏の「連載第二三回:政治システムとは何か(下)」という「社会学入門講座」の最終回に当たる回はたいへん難しい。この内容は、宮台氏の『権力の予期理論』(勁草書房)という本の内容にも通じるもので、この本がまたとてつもなく難しい内容を持っ…

言葉の約束である論理がなぜ現実の合理的な理解をもたらすのか

かつては、論理は現実世界の反映であり、論理の正しさといえども現実にその基礎を持っているのではないかと僕は考えていた。ウィトゲンシュタイン的な、写像による現実世界の像としての論理空間というイメージを抱いていた。今ではそのような理解をやや修正…

仮言命題の真理値を巡る直感に反する解釈

形式論理学では、命題の真理値を用いてそれで数の計算に似たような論理の計算を考える。論理として正しいかどうかを、真理値を割り当てて、その値によって評価しようとするものだ。その命題が正しいとき、すなわち真であると判断されると真理値として1を与…

敵対的矛盾の考察

弁証法的な矛盾に関して、非敵対的矛盾というのは現実に観察できる・現実に存在する矛盾としてとらえられていた。それは視点をずらしたときの見え方を並べることで、二つの主張が対立して矛盾を形成しているように見えるけれど、違う見え方を述べたのである…

論理計算における真理値と正負の数の計算におけるマイナスの数との類似

数学においてマイナスとマイナスのかけ算というのは、直感的に理解するにはたいへん難しいもので、ここで躓く子供が多いのではないかと思う。このかけ算の規則は、ルールとして覚えてしまえば何でもないもので、それほど覚えにくいものではない。だが、この…

抽象と数学・論理との関係

小室直樹氏は『数学嫌いな人のための数学』(東洋経済新報社)という本の中で、幾何学・ニュートン力学・経済学などが、その対象を抽象することに成功したことで論理的表現が出来るようになったことを語っている。幾何学はそれまでは実際の役に立てる実用的…

敵対的矛盾と非敵対的矛盾の形式論理による理解

弁証法的な矛盾というのは、三浦つとむさんの『弁証法はどういう科学か』(講談社現代新書)によれば「対立を背負っている」ということが本質的な特徴として語られている。弁証法的な矛盾は、現実に存在する対象をさして矛盾と呼んでいるので、これも、現実…

グリーンピースへの扱いのどこが不公平なのか

さえきさんという方から「現代社会で論理に対立するのは非論理ではなく感情だ」というエントリーのコメント欄に、「「その前提となることが恣意的で公平さを欠く」という根拠が、いまひとつわかりませんでした」という疑問を呈するコメントをもらった。「公…

現代社会で論理に対立するのは非論理ではなく感情だ

宮台真司氏の社会学的な言説の中には、原初的な社会では誰もが同じ感情を有していたので、誰もが同じ判断をしていたというものがある。これはある意味では、思考のルールというものがはっきりと決められていて、そのルールに従った思考の流れしか持てなかっ…

形式論理における矛盾と弁証法における矛盾

形式論理で矛盾と呼ばれるものは、ある命題の肯定と否定が同時に成立するものを指す。これは形式論理では絶対に認められないものとなる。なぜなら、形式論理というのは命題の内容を問わずその形式のみに注目する視点を持つからだ。ある命題の肯定と否定が同…

形式論理における「二重否定の法則」と弁証法における「否定の否定の法則」

形式論理と弁証法では、そこで使われる「矛盾」という言葉に際立った概念の違いを感じるが、「否定」の概念についても微妙な違いを感じる。これは「矛盾」ほどその違いがあらわになっていないので、どちらも同じ「否定」ではないかと感じる人も多いのではな…

仮言命題の妥当性

現実の具体的な論理の展開においては、そこで使われる仮言命題は具体的な内容を持ったものになる。内容を捨象されたAとBで表されるようなある命題を使って「AならばB」という形の仮言命題を使って論理を展開することはない。このように抽象的に表現され…

論理学における仮言命題と日常言語における仮言命題

仮言命題というのは、「AならばB」という言葉で表現されるような命題のことで、Aを前件(前提)と言い、Bを後件(結論)などと言う。この仮言命題を論理学、特に形式論理学で扱う時は、AやBの内容については全く触れることはない。形式論理は、命題の内容…

「言語の構造に支配される思考」という時の構造とは何か

内田樹さんによれば、現在の社会というのは構造主義的な発想が当たり前になってきた時代だという。我々は構造主義を知らなくとも、構造主義であればこのように発想するというような考え方を自然に持つようになっている。それは内田さんによれば次のように表…

構造主義における「構造」そのものの概念を求めてみる

僕は、構造主義における「構造」という言葉にこだわって、その概念をつかむことが難しかったが故に構造主義についてもよく分からないものというイメージでいた。これが数学的な構造、たとえば代数的構造などと呼ばれるものだったら、それほど苦労せずに理解…

人間の社会における「交換」の意味

『レヴィ=ストロース』(吉田禎吾、板橋作美、浜本満 共著、清水書院)には次のような記述がある。これも、ある意味ではレヴィ・ストロースのすごさを伝えるものであるが、社会という、自然科学の対象とは全く違う性格を持ったものを、どう認識するかという…

レヴィ・ストロースのすごさ

構造主義を語るときに、人類学者のレヴィ・ストロースは絶対に欠かせない重要な人物となっている。「親族の構造」の解明こそが、構造主義の歴史における金字塔として紹介されている。だが、今までの僕は、このレヴィ・ストロースの業績に対して、いったいど…

政治的決定に人々が従うための源泉としての「権力」の概念

宮台氏の「社会学入門講座」での、いよいよ最後に登場する「政治システム」の概念の理解に向かいたいと思う。「政治システム」とは「連載第二二回:政治システムとは何か(上)」によれば「社会成員全体を拘束する決定──集合的決定という──を供給するような…

「特定人称性/汎人称性/奪人称性」の概念

「連載第二一回:法システムとは何か?(下)」の終わりの部分で、宮台氏は、ルーマンの「法的決定手続が予期の整合的一般化」をもたらすという考えがはらんでいる問題を解決することを目的として、表題にあるような「特定人称性/汎人称性/奪人称性」という概…