2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

凶悪犯罪者に対する偏見

今週配信されているマル激には安田好弘弁護士がゲストで出ている。タイトルは「私が重大犯罪の被告を弁護しなければならない理由」となっている。これを聞いて思うことは、我々が凶悪犯罪の報道から、いかにしてその犯罪を犯した人間に対して極悪人という偏…

天皇個人に対する偏見

先週のマル激では天皇制について論じていた。ここで僕の関心を引いたのは、議論されていたのが、天皇制という抽象的な制度という対象ではなく、具体的な天皇個人の問題として語られていたことだった。それは現在の明仁天皇を巡る問題だったり、昭和天皇であ…

もう一つの偏見について

偏見というものが不当性を持つのは、それが社会的弱者に対してであることが多い。偏見とは文字通り「偏った見方」であり、ある一面を捉えて、そこから得た解釈が、対象の全面であるかのごとくに扱って考えることを言う。以前に本多勝一さんが、アメリカの黒…

方法論としてのフィクショナルな前提

大きな失敗をしたにもかかわらず、出直しの姿勢に暖かい言葉をかけてもらえて感謝の気持ちで一杯だが、その一つ一つの言葉に返事を返す余裕がまだ無いので、折に触れてそれらのコメントに触れることで返事にさせてもらうことをお許しいただきたい。さてその…

内田さんのアンチ・フェミニズム言説に対する誤読

僕の偏見にとってもっとも大きな影響は、内田さんのアンチ・フェミニズム言説を誤読したことだろうと今は感じている。誤読のポイントは、内田さんがアイロニーとして語ったことを、アイロニーとして理解せず、ベタにそのまま受け取ったことにある。なぜその…

自分の中の教条主義と自らの誤読に対する自己批判

自らの中にある偏見に気づき、「構造的無知」から解放されて自分を冷静に眺めてみると、「地獄への道は善意によって敷き詰められている」という法則を自分が実践していたのを感じる。自らが正しいと信じた行為によって、僕は多くの人を攻撃してしまったこと…

偏見が生まれてくる前段階について

コメント欄にもいくつかコメントをいただいているが、今は自分にそれに答えるだけの余裕がないので返事が書けないでいる。決して無視しているのではないが、今は冷静に他のものにまで目を向けることが難しいと言うことで理解してもらえればと思う。今は、自…

自らの誤謬から学べること

偏見からの「構造的無知」が晴れてみると、自分の論理展開がまったく無理な詭弁であることがよく分かる。まさに構造的無知というのは、その本人にはまったく見えないことが、外にいれば容易に見えてくるという構造を持っている。ばかげた論理を展開したもの…

一方的な反批判停止宣言

このようなタイトルでエントリーを立てるとまた反発を呼びそうな感じもするが、自分の偏見に気づいた今となっては、その偏見を指摘される批判に対して反批判を返す意味が無くなった。というよりも、それは正当な指摘であるから、いくら叩かれてもそれを受け…

瀬戸さんの指摘はほぼ全面的に正しかった

昨日瀬戸さんのトラックバックに対して返事を返したとき、最後に 「内田さんによれば、フェミニズムはすでに終わってしまったと感じられている。そうであれば、どこで破綻していったのか、その分かれ目がどこにあるかが僕の次の関心になる。僕は、フェミニズ…

「数学屋のメガネさんへの再批判。」に対する反批判 4

さてchikiさんの「数学屋のメガネさんへの再批判。」に対する反批判の続きだが、以前の石原慎太郎氏の言葉を巡るものを、ちょっと補足説明しておいた方がいいと感じた。これを論理の問題とすることに違和感を感じる人がいるかもしれないので、そのあたりのこ…

「数学屋のメガネさんへの再批判。」に対する反批判 3

さてchikiさんの「数学屋のメガネさんへの再批判。」に対する反批判の続きだが、まずは次のようなものから始めよう。chikiさんは、僕の提起を 「極端なフェミニズムの登場→正当なフェミニストが是正しない→誤解の蔓延→自分のような噴きあがりが続出→ムキー」…

「数学屋のメガネさんへの再批判。」に対する反批判 2

chikiさんからさっそく反応が返ってきたことを感謝したい。幸いなことに、今忙しいそうなので、この間に、「数学屋のメガネさんへの再批判。」の残りの部分に対する反批判を書いてしまいたいと思う。新しいエントリーで、批判の趣旨はさらに深く分かってきた…

可能性(可能無限)とイズムの暴走性

瀬戸智子さんから「論理学の勉強」というトラックバックをもらった(ライブドアブログで)。コメント欄に書き込もうと思ったのだが長くなりそうな気がしたので一つのエントリーとして立てることにした。「すべての命題は相対的である。」という言葉の意味を…

「数学屋のメガネさんへの再批判。」に対する反批判 1

chikiさんからもらった批判(「数学屋のメガネさんへの再批判。」)を読んで驚いた。これは、実に見事な批判だ。と言うと何か敗北宣言をしているようだが、初めてまともな批判をもらったという驚きと、これだけ見事な論理展開を見せてくれたchikiさんに、正…

事実としての『フェミニズムの害毒』

僕は、フェミニズムの持つ論理の暴走性というものに注目をし、それに気をつけなければ真理が誤謬に転化するのではないかという、第三者的な視点を提出しているのだが、どうもフェミニズムの側にいる人にはそれがひどく気に入らないようだ。どのトラックバッ…

行き過ぎたフェミニズム批判としての『フェミニズムの害毒』

行き過ぎたフェミニズムなどもはや存在しない。それはもう終わった問題なのだ、というような意見をちらっと目にした。何を今さらそんなことを問題にするのか、というわけだ。しかし、これはずいぶんとおめでたい無防備な考え方だなと思う。そう考える人は、…

ジェンダーへの疑問

竹村和子さんは『フェミニズム』(岩波書店)の中で、ジェンダーについて語っている。ジェンダーは普通次のように考えられている。 「生物学的な所与の性差と考えられている「セックス」と比べ、「ジェンダー」はセックスの差異の上に構築される「社会的・文…

フェミニズム理論の逸脱する可能性

単語に過剰反応して文脈理解をしない者がいるので、冒頭に一言断っておくが、これから述べることはフェミニズム一般の批判ではない。フェミニズムの理論において、正しい範囲のものが、いかにして誤謬に転化していくかという過程的構造について考察しようと…

トラックバック先のエントリーに対する雑感

トラックバック先のエントリーでの批判はほとんど的はずれだと感じているのだが、部分的に気になるところを雑感として記録しておこう。まず「こんな主張誰がしてるの?」の中の次の部分だ。 「ちなみに、「クラス名簿を男女混合にする」ってのは、あるかもし…

告発のための告発

ブログになる前の楽天広場では、かつて著作権法の違反を摘発することが流行っていた頃があった。当時はまだインターネットも大衆的な開放がされたばかりの頃で、よく知らなかったり慣れていなかったりする人たちが、著作権のある映像を無自覚に自分の日記に…

フェミニズムのうさんくささ

弁証法の論理には「両極端は一致する」という法則がある。極端というのは、一般論的に考えると、現実に存在する物事をある一面からしか見ないということになる。本来なら多様な面を持っていて、多様だからこそ、視点を変えれば矛盾した結論も導かれてしまう…

フェミニズムの主流派はどこにいるのか

極論としてのフェミニズム批判をしたところ、いくつかのトラックバックをもらったが、僕がよく訪れる瀬戸智子さんのブログを除いては、それが過剰反応としか思えないトラックバックだったので少々驚いている。過剰反応は、いわゆる「ネットウヨ」と呼ばれる…

しごきの有効性について

ちょっと前に戸塚ヨットスクール事件で服役していた戸塚宏氏が刑期を終えて出てきたというニュースがあった。そして、その後にアイ・メンタルスクール(NPO法人)事件というものが起きて、これも何か戸塚ヨットスクール事件に似たような印象を人々に持たせた…

「権利」について考える

死刑廃止論の考察においては、「人権」という概念が非常に重要なものとして出てきた。その時に「権利」というものについても少し考えてみたのだが、この言葉は、僕の職業柄「教育を受ける権利」というものとして具体的に関わってくる。「人権」という言葉は…

セクハラについて考える

僕は、昨日のエントリーで筆坂さんの『日本共産党』(新潮新書)を取り上げて考えてみたのだが、その中で、筆坂さんのセクハラ問題を「交通事故にあったようなもの」という比喩をした。この比喩は、かなり微妙な問題を含んでいるのを感じる。まず、日本にお…

日本共産党批判

日本共産党は左翼陣営にとって巨大な存在である。かつては左翼陣営を代表する社会党が、今では二大政党制としての民主党に吸収されてしまったので、おそらく、影響力の大きさで言えば、左翼陣営としては日本共産党が最大の存在になっただろうと思う。この共…

被害者感情への配慮

死刑廃止論は、被害者への感情の配慮が足りないと言う批判が言われるときがある。加害者に対する報復感情というものがある間は、凶悪犯罪に対して、その罪の重さに応じた死刑もやむを得ないとする考え方だ。しかし、犯罪被害者の遺族である原田正治さんは、…

亀井静香さんの死刑廃止論 2

亀井さんの第三の論点である冤罪の可能性について考えてみたいと思う。これは、死刑廃止論者が必ず取り上げるものであるが、亀井さんは元警察官僚だけに、その語り方にもリアリティを強く感じるものがある。実際に冤罪が作り出される現場にいたと言うことの…

亀井静香さんの死刑廃止論 1

亀井静香さんの講演をまとめた『死刑廃止論』(花伝社)という本を買った。「死刑廃止 info! アムネスティ・インターナショナル・日本死刑廃止ネットワークセンター」というページに載せられている、「死刑制度の廃止を求める著名人メッセージ」の中の亀井さ…