犯人探し

耐震強度偽装問題は、誰が一番悪いかという、犯人探しがマスコミの報道の主流になっているように感じる。誰か悪いやつを捜して、みんなでそいつを叩いて溜飲を下げるというのがマスコミの報道のようだ。しかし、この事件には、叩くにふさわしい犯人が見つからないのでマスコミは苦労をしているようだ。
この事件の原因を作った姉歯建築士は、どう見ても極悪人には見えない。それによって巨万の富を作り上げたわけでもないし、半ば脅されて仕方なく悪に手を染めたような感じに見える。他の登場人物も、誰がこの事件を引っ張っていった主犯であるのかというのがわかりにくい。
マル激では、宮台氏が、これはシステムの問題ではないかと受け取れるような発言をしていたが、システムの問題だとすると、今度は行政の側の誰に責任があるかという問題が生じてくる。
しかし、日本社会の問題は、空気によって動かされる人間が圧倒的に多いというシステムが大きく関わってきているように感じる。空気ではなく、真っ当な理屈で動く市民的感覚の持ち主が、日本にもっと多ければ、問題が取り返しがつかなくなるくらい深刻になってからでないと発覚しないと言うことがなくなるのではないかと思う。もっと小さい問題の時に、やり直しがきくときに表面化してくるのではないかと思う。
この問題は、犯人探しよりも、システムの問題に注目することが重要なのではないかと思う。