方法論

構造の把握の仕方

構造というのは、対象の全体性を把握しなければそれが見えてこない。対象の一部をどれほど細かく観察しても、そこから全体を引き出すことが出来ない。そこで考えられている全体は、まだ観察していない部分を想像している、仮説的な思考になってしまうだろう…

世界を広げるための発想・思考

世界というものを命題の集まりであると考えたとき、最も基礎的な命題から他の命題が論理的に導かれるという構造になっていたら、つまり公理的体系になっていたら、その世界は全体像の把握が容易に出来るだろう。数学というのはユークリッドの幾何学を第一歩…

解像度の問題

マル激トークオンデマンドに『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)の著者の福岡伸一さんがゲストで出ていたときに、福岡さんが語っていた「解像度」という言葉が印象に残っている。解像度の高い画像では、より細かい部分が鮮明に表現される。福岡さん…

直感の及ばない対象を論理的に把握すること

量子力学について調べていると、極微の世界などの直感の及ばない対象に対して、どのようにして概念を作るかという問題を感じるようになった。直接眼に見ることの出来ない存在を、我々はどのようにして把握しているのだろうか。これは、極微の世界だけではなく、抽…

他者の報告(言語による表現)の真理性はどこで判断するか

最近気になっている問題は、他者の報告の真理性の問題だ。特に、言葉で語られたことに対して、それが正しいことをどうやって確かめるかという問題を考えている。言葉で語られたことは、意図的な嘘である場合もあるし、勘違いをしているときもある。他者の言…

資本主義的搾取の不当性

萱野稔人さんは『カネと暴力の系譜学』(河出書房新社)の中で、資本に関して「他人を働かせて、その上前をはねる」ということとの関連を語っている。これは、かつてのマルクス主義的な用語で言えば、「資本主義的搾取」と呼ばれるものになるのではないだろ…

萱野稔人さんの国家に関する考察を方法論として読んでみる

萱野さんの国家論というのはたいへんユニークで面白いものだと思う。国家論というのは、どちらかというとこれまではマルクス主義的な観点から論じられたりすることが多く、イデオロギー的な前提を強く持っていたように感じる。国家というものが民衆にとって…

イデオロギーを排した思考の方法論と、イデオロギーに支配された思考の誤謬論

イデオロギーとは、「政治・道徳・宗教・哲学・芸術などにおける、歴史的、社会的立場に制約された考え方。観念形態」と辞書的には定義されている。ということは、イデオロギー的なものに影響された思考というのは、その帰結が「歴史的、社会的立場に制約された…

国家とは何か

萱野稔人さんが『国家とは何か』(以文社)という本を書いている。この本の前書きに当たる部分の「イントロダクション」というところで、この本が目指しているところの全体像について書いている。それは、タイトルにあるとおり、「国家とは何か」ということなの…

個人としての自分が見てそう思うのか、誰が見てもそう思うのか

久しぶりにすごい人間に出会った。マル激のゲストで語っていた萱野稔人という人物だ。その明快な論理展開は、宮台真司氏の文章を初めて目にしたときと同じ印象を感じた。この人は優れた専門家だと思える人はたくさん見つけることが出来る。マル激にゲストで…

問題のレベルと社会学的な視点

宮台真司氏は「社会学講座 連載第15回:人格システムとは何か?」の中で次のように語っている。 「■心理学は、現行の制度や文化を「前提にする」学問です。社会学は、現行の制度や文化を「疑う」学問です。社会学によれば、「社会」とは私たちのコミュニケー…

「パラダイム理論」とイデオロギー支配ということ

板倉聖宣さんは、『子どもの学力 教師の学力』という本で、「パラダイム理論」というものに触れている。板倉さんによれば、パラダイムというのは、という言葉で説明されている。これは、抽象された結論だけを語っているので、捨象された過程を知らなければ、…

「言語ゲーム」の本質

ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」という考え方はとても分かりにくい。つかみ所のないものという感じがする。この難しい概念を理解するために、本質という面からこの対象に近づいたらどうだろうかと考えてみた。どのような対象が「言語ゲーム」と呼ばれ、ど…

歴史的事実に対する確たる証拠

『涼宮ハルヒの憂鬱』というライトノベルと呼ばれる小説をふとしたきっかけで読んだことがあった。そこには、世界が5分前に創造されたものだったということが語られている部分があった。それは、論理的には証明することは出来ないが、反証することも出来な…

「社会学入門講座」における数学系的記述

宮台真司氏の「連載・社会学入門」は、その内容の難しさにもかかわらず大きな魅力を与えてくれる文章だ。僕はそこに数学系の匂いを感じる。宮台氏は、あることばを説明するときに、まずはそれを明確に定義して、他の解釈を許さないような形でその意味を明ら…

数学系の思考の進め方

小林良彰さんは『明治維新とフランス革命』(三一書房)という本で、「「領主の権力からブルジョアジーの権力へ」、これが市民革命の定理と考えるべきである」と書いている。定理というのは、数学の場合に、ある公理から論理的に導かれる正しい言明(つまり真理…

繰り返し読むことで理解が深まることについて

宮台真司氏の「連載・社会学入門」という文章を、もう10数回読み返しているだろうか。読むたびに新たな発見が出来るということもあり、読み返そうというモチベーションが生まれてくるのだが、新たな発見が出来るということは前に読んだときに比べて理解が…

歴史の本質を理解するための「よい先入観」

図書館で小林良彰さんの『複眼の時代』(ソーテック社)という本を借りた。これは昭和51年(西暦1976年)に出版されたものだが、今読んでも新鮮さを感じるすごい本だと思った。この時代にこれだけの本を書いていたのに、板倉さんが小林さんを知ったのは1…

機能主義について

機能主義については、僕は長い間ある種の偏見を抱いていた。「悪い先入観」を持っていたといってもいいだろう。それは、三浦つとむさんが機能主義に対して常に批判的な見方をしていたからだ。三浦さんは唯物論の立場だから、機能よりも実体の方が基礎的なもの…

「よい先入観」とは

仮説実験授業の提唱者の板倉聖宣さんに『近現代史の考え方』(仮説社)という本がある。この中に「明治維新とフランス革命」という文章がある。ここで主張されているのは、「明治維新とフランス革命とは基本的に同一の革命であって、フランス革命は完全だったが明…