政治

原則を貫く政治家としての小沢一郎氏 1

小沢一郎氏の辞任会見から始まった一連の混乱が収まりかけてきた今、改めてこの騒動は何だったのかということを整理してみたいと思う。小沢一郎氏は、僕自身は余り好きなタイプの人間ではなかったが、宮台真司氏が高く評価していることもあり、政治家として…

新聞社説に見る久間発言批判 2

久間発言を取り上げた新聞社説は多いものの、そのほとんどは「しょうがない」という言葉で語られた内容そのものよりも、それが原爆投下を「容認」したかのように語ったと誤解されたことを批判したものばかりだ。この誤解が、犠牲者の犠牲もやむをえなかった…

久間発言の形式論理的考察

久間防衛相が「しようがない」という発言によって辞任をした。このことについては、多くの報道があり、また多くの人がブログなどで言及しているようなのだが、何が問題なのかというのが余り明確になっていないように感じる。原爆被害者の感情を逆なでするよ…

新聞社説に見る久間発言批判 1

新聞社説は、短い報道記事と違って、どこがどのように批判されなければならないかが一応まとまって書かれている。この批判の形式論理的構造を考えてみたいと思う。形式論理において、ある命題Aを否定したい時は、Aを仮定して論理を展開したときに矛盾が導…

民主主義とはどういうものか

小室直樹氏の『悪の民主主義』(青春出版社)によれば、戦後民主主義の批判の要になるのは、それがまったく民主主義と呼べるものではないということにある。戦後民主主義と呼ばれるものの、どの面が民主主義とは呼べないかということを理解することが重要に…

沖縄県知事選、保守勢力勝利の意味

沖縄県知事選で「自公」が推す仲井真氏が初当選した。この選挙については、今週配信されたマル激の中で、宮台氏が「糸数氏が当選しそうですし」と語っていただけに、残念な気持ちが強い。それと同時に、教育基本法が国会を通過しそうなことなどを考え合わせ…

ナショナリストとポピュリズム

安倍新総理の人気の要因の一つにナショナリストであるということが言われている。ナショナリストというのは、いろいろなイメージを持った言葉で、僕などはあまりいい印象を持っていない。だから、人気の源泉がナショナリストであるということにあると言われ…

安倍さんの所信表明演説の論理性を考える 2

安倍さんは所信表明演説(全文は「読んでみる?安倍首相・所信表明演説の「全文」」)の中で「美しい国、日本」について次のように語っている。 「一つ目は、文化、伝統、自然、歴史を大切にする国であります。 二つ目は、自由な社会を基本とし、規律を知る…

安倍さんの所信表明演説の論理性を考える 1

安倍新総理の所信表明演説の全文が「読んでみる?安倍首相・所信表明演説の「全文」」と言うページで読むことが出来る。この演説の論理性というものを検討してみようと思う。論理性を検討するというのは、そこに書かれている主張が正しいかどうかを検討する…

植草一秀さんの小泉内閣経済政策批判

マル激の中で語られていた植草さんの、小泉内閣経済政策批判を論理的に理解する努力をしてみようかと思う。僕は経済学を専門的に勉強したことはないので、これが正しいかどうかという評価は出来ない。あくまでも論理的な整合性という面でのみこれを理解して…

国会議員と大臣の違い

竹中大臣が、小泉政権の終わりとともに、参議院議員も辞職をしたいということを表明したのは15日のことだった。「<竹中総務相>議員辞職表明…「安倍政権」居場所なく」という報道によれば 「「小泉路線」の象徴的存在だった竹中平蔵総務相が15日、政権…

政治は大衆運動だろうか?

「政治は大衆運動だろうか?」などと疑問文で書いたりすると、それは「そうではない」というような答を暗に主張しているようなものだ。こんなことを考え始めたのは、うるとびーずさんの「田中流選挙」という日記で紹介されていた、「戸田の分析:あえて勝利…

長野県民は田中康夫さんの何を否定したのか

否定の論理構造という視点から長野県知事選の結果を考えてみたいと思う。田中さんは7万8000票差で破れたという。これを大差だと見る見方もあるが、田中さんには53万票くらいが入ったというから、決して否定されたわけではないという見方もあるだろう…

「靖国問題」と「靖国参拝問題」

以前に高橋哲哉さんの『靖国問題』(ちくま新書)を参考にして「靖国問題」を考えてみた。高橋さんは哲学者なので、哲学者としての視点から「靖国問題」を捉えると、どのような論理展開になるかということがこの本を学びたいと思った大きな理由だった。哲学…

日本共産党批判

日本共産党は左翼陣営にとって巨大な存在である。かつては左翼陣営を代表する社会党が、今では二大政党制としての民主党に吸収されてしまったので、おそらく、影響力の大きさで言えば、左翼陣営としては日本共産党が最大の存在になっただろうと思う。この共…

中止の指示がなければ、それは実行の指示になるのか(続き)

さて以前のエントリーで、僕は、岡部氏こそが文書廃棄の指示をした直接の人間だったというのを、会議録から読みとった。そうであれば、この岡部氏の行動が、田中氏の意向を受けたものであるということが証明されなければ、田中氏の指示で文書が破棄されたと…

中止の指示がなければ、それは実行の指示になるのか

さて「百条委、論点整理の全議事録」で、いよいよ核心部分の検討に入りたいと思う。宮沢副委員長は次のように発言している。 「次に田中康夫証人は、リアルタイムで公用文書破棄の実行を行う内容をメールで報告を受けていた。その報告に対し、何ら指示はして…

公文書か私文書か(続き)

「百条委、論点整理の全議事録」における石坂委員の次の発言には非常に重要なものが含まれている。これは、田中さんの指示があったかどうかを解釈するのに、重要なポイントになるものだ。まず発言を引用しておこう。 「時系列的に追っていって、認識の発展と…

事実と解釈の混同

「百条委、論点整理の全議事録」に、論理的になかなか興味深い記述がいくつか見つかったので考察してみようと思う。まずは、15番目の平成15年2月17日、下水道課の問題というもので、「不可解な政策決定がなされたという事実」を巡る議論だ。これは、「公共下…

百条委の議論を分析してみた

百条委の記録を、とても全部読む気にはなれなかったので、「百条委、論点整理の全議事録」のみでちょっと考えてみようと思う。これは、2006年2月8日、長野県百条委員会の全議事録らしい。百条委の記録そのものは、膨大な量に上り、この中から本質的な…

発端となった事実はどういうものなのか

長野県の田中知事が告発された発端となった、下水道事業の入札制度変更の問題というのは、具体的にどういうものなんだろうか。偽証という部分の報道はたくさんあるのに、肝心のこの問題に関して詳しく報道したものが見つからない。偽証かどうかの判断には、…

偽証はどのような論理によって証明されるか

長野県の田中知事が、偽証の疑いで告発されたという。偽証の中身は、「田中知事を偽証告発へ 長野県議会」というニュースによると、 「偽証があったとされたのは、情報公開請求があった公文書を県職員が破棄した問題をめぐる証言など。公開を求められた公文…

非論理的な主張

「民主「メールは事実無根」 自民、謝罪受け入れ」というニュースの中に次のような文章がある。 「民主党が二回目の回答書でメールや資金提供疑惑を全面的に「事実無根」と認めたためで、半月以上におよんだメール問題は決着した。」 この文章の「メールや資…

議員年金改正の嘘

「議員年金廃止法案 実態変わらず“優遇” 退職金制度導入の動きも」というニュースを読んだ。これによれば、「財産権の問題も絡み、「廃止」とは呼べない内容となった」そうだ。 民主主義社会の多数決原理によれば、少数者の利益は否定され、多数者の決定が少…