2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

真理の相対性について再考

数学は抽象的対象を定義して、その定義に含まれている複雑な内容を、形式論理で解きほぐしていって単純化する学問だ。いくつかの単純な公理という出発点から、形式論理だけで複雑な内容が導き出せるというのが、数学の驚くべき特性だろう。数学には仮説実験…

仮説が科学になるとき

科学はすべて仮説に過ぎないという言説はいつでも再生産されるもののように感じるが、これは、科学における真理と形式論理における真理を混同しているために起こる誤解ではないかと僕は感じていた。つまり、科学の何たるかを知らない哲学者が、真理といえば…

進化論に対する疑問

進化論に対する疑問というのは、進化という考え方自体が間違っていると考えているのではない。進化という発想は、生物が同一のものとしてあり続けるのではなく、何らかの変化(どれを「進化」と呼ぶのかにはさまざまな異論があるが)をしてきたと考えるもの…

内田樹さんの文章の誤読について

「2004年03月02日 スーパー負け犬くんはいかにして生まれたか?」という内田さんのエントリーに次のような文章がある。 「「勝ち犬」量産システムに身を置くということは、逆に言えば、その「勝ち犬」たちを自分の「サクセス」のめやすとして採用せざるを得…

実定的な抵抗感と欠性的な抵抗感

内田樹さんは『映画の構造分析』の中で、何かに「引っかかる」感覚を「鈍い意味」という言葉で形容している。これは、確かな解釈が出来ないと言うことで、明確にならないという意味での「鈍さ」を持っている。「脈絡のなさ」あるいは「シニフィエなしのシニ…

俗流進化論は科学ではない

僕は、以前から進化論の科学性を疑っていたのだが、このところの科学としての「相対的真理」の考察から、「俗流」進化論は科学ではないという確信を持つようになった。「俗流」進化論とは、「進化論 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』」…

論理的理解が出来ない二流の言説

umehoushi氏からトラックバックをもらって、「方法について(1) Faith in Science-マククリントック女史の憂鬱-」というエントリーを読みにいったのだが、ここには、僕が批判的に検討してきた二流の言説の特徴がよく出ている。それは、一言で言えば、明らかに…

テレビ報道の二流性

今朝テレビのニュースを見ていたら、川崎でのマンションから男児を投げ落としたという事件の報道をしていた。容疑者として逮捕された男が、いかに理解しがたいひどい男であるかというのを分かりやすく報道していた。僕はここに二流性を感じる。ひどい犯罪を…

『国家の品格』の二流性 8

藤原さんは、「自由」と「平等」というものを批判してこれを否定しようとしている。これは、フランス革命が掲げた価値観で、西欧の価値観として代表的なものだけに、藤原さんの批判の対象になったのではないかと思われる。しかし、これは「価値観」なので、…

誤読と多様な解釈の違い

かなり前に、教育界に<法則化運動>なるものが席巻したとき、仮説実験授業研究会はこれを批判していた。ここで語られている「法則」なるものが、せいぜいが「ことわざ」程度のものに過ぎないのに、仰々しく「法則」などと呼ぶのは間違いではないかというも…

作者の死

「作者の死」と言うことは、三浦つとむさんが、構造主義者の妄想として退けていた事柄だった。三浦さんは、「作者の死」と言うことを作者の存在がないということと受け取った。もし、作者がまったく存在しないのなら、作品は自動的に生み出されると言うこと…

映画の評価について

今週配信されたマル激は、無料だということなので、映画に関心がある人はぜひ見ることをおすすめする。映画の評価というものについて深く考えさせてくれる、一流の映画評の言説が語られている。僕は、かつて「ディア・ハンター」というアカデミー賞映画を、…

内田樹さんの一流性

内田樹さんは、その評価が両極端に別れる人で、とんでもない間違った言説を撒き散らす人だと評価する人もいれば、僕のように、その語ることに一流の香りがすると高く評価する人もいる。僕が、内田さんが一流の言論人だと確信したのは『寝ながら学べる構造主…

中止の指示がなければ、それは実行の指示になるのか(続き)

さて以前のエントリーで、僕は、岡部氏こそが文書廃棄の指示をした直接の人間だったというのを、会議録から読みとった。そうであれば、この岡部氏の行動が、田中氏の意向を受けたものであるということが証明されなければ、田中氏の指示で文書が破棄されたと…

『国家の品格』の二流性 7

藤原さんの民主主義批判について考えてみようと思う。僕も、民主主義のすべてが素晴らしいとは思わない。板倉聖宣さんが語るように、民主主義は最後の奴隷制だと思う。「最後の」というのは、これを最後にして欲しいという願望と共に、民主主義は、そこで奴…

中止の指示がなければ、それは実行の指示になるのか

さて「百条委、論点整理の全議事録」で、いよいよ核心部分の検討に入りたいと思う。宮沢副委員長は次のように発言している。 「次に田中康夫証人は、リアルタイムで公用文書破棄の実行を行う内容をメールで報告を受けていた。その報告に対し、何ら指示はして…

公文書か私文書か(続き)

「百条委、論点整理の全議事録」における石坂委員の次の発言には非常に重要なものが含まれている。これは、田中さんの指示があったかどうかを解釈するのに、重要なポイントになるものだ。まず発言を引用しておこう。 「時系列的に追っていって、認識の発展と…